バルサ電動機



丸鷹 雷電

(飛行編)


ジャイロ搭載new
最近のトレンドは小型機にジャイロを搭載すること。その目的は、風のある時に主翼がバタバタするのを防ぐことと、着陸時に機体の姿勢を安定させて主脚への衝撃をできるだけ低減すること。
使用したのはBigaole 3G-A 3軸 ジャイロ。このジャイロはムスタング10に次いで2機目。雷電は胴体が太くスペースは十分。受信機を後方に移して重心位置の近くに搭載。ジャイロの設定は慣れると簡単。今回も「AVCS モード」は使用せず、送信機の肩レバーでON-OFFのみを切り替えるようにして設定完了。
雷電は上反角が大きく、主脚の伸長方向を主翼に垂直にすると左右の脚が「ハの字」になる。前から気にはなっていたので今回修正。タイヤの位置も少し前に出して離着時にお辞儀しないようにした。
雷電のフォルム、好きです。(2021年12月26日)


初飛行
完成早々に初飛行に臨んだ。まずは記念写真、先日完成したゼロ戦と2ショットも済ませた。
西風3m程度、スロットルを上げると2〜3mで離陸、これにはビックり。高度を稼いで上空で旋回、トリム不要、非常に安定して飛ぶ。舵角は問題なく、操縦は至って簡単。尾翼の剛性が高いのでしっかりと飛んでくれる。
ずんぐりした胴体だがこれが意外に高速で飛ぶ。機首が絞られているので抵抗が少ないためだと思う。宙返り、ロールOK、ロールレートは高めだが今の舵角で支障はなく運動性が良い。
飛行中の写真は仲間に頼んだ。機体が小さく高速で飛ぶのでデジカメではピントがなかなか合わず証拠写真レベルになってしまった。
暫く楽しんだ後に着陸へ。スロットルを絞ると機速がうまく落ちてくれる。着陸寸前にエレベータをアップにするとフレアがかかりゆっくりと接地。大型フィレットで胴体の底面積が大きいのが着陸を容易にしてくれるようだ。
無傷で帰還、B29の迎撃から帰還して誇らしげな雷電がありました。無事に飛んでよかったです。(2019年10月26日)。
設定情報
モータ:OS3810 ペラ:APC9×6 アンプ:SKYWALKR30A リポ:3セル1500mAh
重心:前縁から55mm
舵角:エルロン±7mm エレベータ±10mm ラダー±25mm
電比:約5分の飛行で電池残量50%。送信機タイマーは6分に設定。



(製作編)

経緯
先月、オークションでキット12本(丸鷹、SIG、FLAIRなど)を発見。リサイクルショップからの出品で中身の確認不可。失敗を覚悟で入札。出品カテゴリが適切でなかったのもあって格安で落札。相当な大きさだったが送料は業者価格なのか5000円と安かった。
各々のキットを確認、完全なキット5本、図面なし4本、作りかけ2本、製作不可1本であった。完全なものは1本を残して譲渡、図面なしの1本は手元に原寸図面があったので一緒にして譲渡。結局手元に6本残っている。その中の2本が雷電15。
状態
当然、前のオーナーがこのキットをどうしようとしていたかは不明。図面が無いので部品の確認が難しいが、ゼロ戦やコルセアからの経験から想像できる。結局、1機目は、主翼及び胴体の骨組みを組んだが、気に入らなかったのかもしくは失敗したのかそのまま放置してその骨組みを紛失した様子。2機目はほぼ手付かず、1機目のリベンジで入手か?胴枠に軽量化のための穴が開けられており、細かな作業ができるオーナーさんだった様子。
1機目は作業が進んでいなかったのが幸いして、カウリングやキャノピーはもちろん、金属部品、エルロン、尾翼、各種ブロックは残っている。
製作方針
この機体の図面を探したが見つからなかった。ほぼ手付かずの2機目は図面が見つかった時に製作するとして、この2機目は部材のテンプレートとして活用する。
アウターゾーンに雷電25の図面がアップされていたのでダウンロード。この図面と本機とを比較してみると、リブや胴枠の数や位置が異なっている、さらにリブのスパーの位置がかなり違っている。
そんなことなので、カウリングなどの主要部品は利用するが、ダウンロードした図面に基づいて製作を進めることにする。ハーフAのゼロ戦と同じく、
1)固定脚を選択
2)ラダー可動式を選択
3)主翼はフルプランク、フイルムはオラライトの白を使用してスプレー塗装
4)付属のバルサ材は重いので軽量バルサに置き換える。
となる。さらに、胴体は、「隼」で採用した方法を使って軽量に仕上げることにする。

この機体は、ネットで製作記事を見かけることはあるが、かなりキワモノのようで離陸⇒墜落が多いようだ。ジービーのような感じの機体で、パワーを求めて結局、4st30のエンジンを搭載して重量増で撃沈といったパターンを辿るようだ。
造形は魅力的、無事進空するか?(2019年6月30日)
主翼
図面を拡大。ダウンロードした図面をA3で出力し、さらに主翼図面:205%、胴体図面210%に拡大して目的の図面とした。
リブは翼根と翼端のテンプレートを作成して10枚の2mmバルサを挟み込んで一気に成形。テーパが強いのでこの方法はあまり良くない。最後に各リブを微調整してリブ完成。
主翼はフルプランクなので、プランク材(1.5mmバルサ)に各リブの位置を書き込む。後縁材はキット付属の部材を使用。今回は後縁を基準にして製作。前縁材もキット付属の部材を使用。補助前縁材を別途用意して製作を容易にした。スパーは3×3mmバルサロッド、キットのものは使わずに3mmバルサから切り出した。
主脚の支持ブロックはエポキシでしっかり接着。
左右の翼はキットに付属のカンザシを使用して接着。上反角が大きくゼロ戦の2倍くらいある。実機も同様、どんな理由かな。
主翼完成
下面のプランク材を接着。ねじり下げを設定してしっかりと固定。この作業で捻じれのない主翼が得られる。剛性の高い主翼となった。
エルロンリンケージはキット付属のものを使用。
これで完成。ゼロ戦の主翼(手前)を比べると上反角が大きいのが特徴。主翼面積は10%くらい雷電が大きい。(2019年7月15日)
胴体
このキットに入っている胴枠を活用するために、図面上で胴体を組み立ててみた。当然、ピタリ一致するはずはなく、各部品を色々と組み合わせてやっと全体像を理解。各胴枠の位置を図面上に記入。各胴枠の形状を3mmバルサに書き写してカット。胴枠は半割りになっており、同じものを2枚切り出して接続。防火壁は4mmのベニヤから切り出し。ストリンガーの切り欠きもこの段階で形成。
機体の中心にカーボンパイプを貫通させるために、防火壁にパイプを垂直に固定。
カーボンパイプと防火壁を基準にして各胴枠を適所に固定。この工法はジービーレーサや一式戦闘機の隼で使用したもので要領は得ているので作業は早い。
今回は3×3mmのバルサ角材をストリンガーとして使用。バルサ角材は最近手に入りにくい。近くのホームセンターでもバルサ材そのものが少なくなっている。今回は3mmバルサシートから切り出した。意外に簡単な切り出し方法にを会得。後日、公開。
一番悩むのが主翼との接続箇所。すでに主翼は完成しているので、現物合わせが可能。大きなフィレットがあるので工作の難易度は高いが、ここは現物合わせで上手くクリア。仮組すると太い胴体が目立つ。(2019年7月21日)
モータマウント
防火壁からプロペラまでの距離は約140mmと長く片持ちで上手く支えられるか心配したが、元のエンジンマウントの部材を利用すると上手くいきそう。前のオーナーさんが軽量化のために穿孔を施している。このベニヤを更に前方に40mm延長してモータの取り付け面を形成。エンジン用のマウントなのでしっかりしており振動の心配はないと思う。
胴体をプランクする前にサーボとリンケージを固定。ラダーのリンケージは同時製作中のゼロ戦と同じ形式を採用。
主翼の固定用のブロックを2か所に設定、主翼ダウエルも取り付け終了。
プランク
2mmバルサでプランク。どの部材もR又は逆Rがつくので バルサは事前に水分を含ませて曲率を設定。無理のないように複数に分けて接着。フィレットの逆R部を残してプランク終了。
尾翼をチェックすると、雷電15のラダーは雷電25に比べて大きくなっている。安定性重視であろうが違和感がある。
先日手に入れた世界の傑作機「雷電」の写真や図面からかけ離れないようにラダーの面積は適宜変更することにした。
フィレット
この機体は胴枠にフィレット支持部が形成されている。フィレットの胴体との接続が滑らかになるメリットがあるが、逆Rがさらに三次元的に湾曲するので無理することなく主翼後縁部で分割。2mmバルサなのでサンデンで上手く誤魔化すことができる。
尾翼ブロックの周りはキットでは3部品で構成されるが面倒なので手持ちの15mmバルサを2枚張り合わせて形成。尾輪用の垂直軸をこのブロックに埋め込んでラダーリンケージ完成。最後にブロックをエポキシでしっかりと接着。
キット付属の尾翼は3mmハードバルサで36g、これは、3mmバルサ骨組みの両側を1mmバルサでサンドイッチしたものに変更。これで29gとなり7gの軽量化、もちろん剛性アップ。なお、垂直尾翼は雷電25のスケールに合わせて小さくした。
生地完成
水平尾翼と垂直尾翼のコーナー部は普通はバルサブロックだが、この機体はバルサ材で一体的に形成するようになっている。曲率の大きな胴体ならでは。
これで生地完成。モータ、アンプ、リポ電池と同じ重さの重りを適所に固定して重心をチェック、現時点で丁度良い。リポ電池を位置調整すれば追加の重しなしで行けそう。現時点で720g、フイルム貼って塗装して800g+αになりそう。
生地完成のゼロ戦と比較、胴体の太さが桁違い。次はサンディング。(2019年8月3日)
フイルム貼り
先にゼロ戦を完成させたので雷電は暫く放置状態になっていた。サンディングとパテ埋めを済ませてフイルム貼りへ。
フイルムはOKのEライトを使用。ゼロ戦でノウハウを蓄積、あまり縮まないので3次元曲面では分割してはるのが良い。このフイルムはオラライトよりも薄いので重ね合わせが気にならない。
またEライトフイルムはオラライトに比べてカッターナイフへのダメージが少なく頻繁に刃を折る必要はない。さらに裏紙がないタイプなのでフイルム貼りの途中でフイルム同士が引っ付くことがないのもメリット。
胴体に少し時間がかかったが出来映えはまずます。日の丸デカールはオークションでこの機体用のものを落札。新しいデカールのようで何処から手に入れたのか興味ある。マルタカの他の機体のデカールも出品されている。
塗装
塗装手順は、800番でサンディング⇒ミッチャクロン⇒田宮ラッカーAS−1、AS−2塗布となる。塗膜がしっかりと固定されるので、その後にマスキングテープを使用できる。操縦席の前方を黒色に着色して塗装終了。キャノピーと操縦室も塗装完了。
今回は排気管を製作してみた。6mmのアルミ管を2cmにカットして楕円形に潰し、後半部分を90度折り曲げて排気管に見立てた。カウリングは、ルータを使って排気管の出口とカウルフラップを形成。これだけで随分雰囲気がでる。
カウリングと排気管を塗装すると機体の完成となる。(2019年10月19日)
進行中
カウリングの塗装を済ませて、日の丸シール、機体識別帯を貼り付けた。機体識別番号を貼ろうとしたがはみ出してしまう。垂直尾翼を少し小さくしたのが原因。これは別途製作して貼り付ける予定。良い感じに仕上がっている。(2019年10月20日)
完成
尾翼の機体識別番号は元のシールを80%に縮小してカッティングシートに張り付け、あえて定規を使わずにフリーハンドでカットして手塗感をだしてみた。
重心位置はアンプおよびリポ電池をできるだけ前側に寄せてOKになった。尾翼周りを軽量化してこの結果なのでオリジナルのままでは後ろ重心になるハズ。
リンケージはいつもの方法、メカ室は余裕がある。エルロンサーボはできるだけ後ろ側に寄せてリンケージの長さを最短にして剛性を確保。
結局全備重量は900g弱になったが翼面荷重は55g弱、ゼロ戦の翼面荷重は53g位なのであまり変わらない。軽快に飛ぶと思う。
ゼロ戦と2ショット、いずれも堀越二郎氏の手掛けた機体、雷電の太い胴体が一層目立つ。
これで完成、初飛行の準備完了。

<戻る>