バルサ電動機



ロング・ミゼット・ムスタング

(飛行編)

初飛行
機体番号などを入れる前に飛ばしてみることにした。幸い、晴天で無風。舵角はジービーレーサの数値を参考にした。
地上でフルスロットルにしてみると推力十分、振動もなし。舵の方向を確認して滑走路へ。
スロットルを上げるとスルスル走り出しあっさりと離陸。上空で様子をみると何とノートリム!安定性が高く、それでいて舵はしっかり効くので非常に操縦しやすい。
低速で失速する気配はない。試しに上空で失速テスト、超低速でフルアップにする右スピンに入る。しかしパワーを入れると即座に回復。失速に入りにくくそこからの脱出も容易であることが分かった。
ミゼットムスタングはもともとパイロン機であるが、本機は厚翼でもありそれほど速度は出ない。しかし、フルスロットルで飛ばすとそれなりに爽快感を味わえる。
暫く遊んで着陸へ、着陸コースに入れてスロットルを絞ると良い感じで降下、そして接地。接地寸前までエレベータが効くのでフレアーのかかった着陸ができた。この感覚は主翼中央の面積が大きいムスタングや雷電と同じ。
本日は2回飛ばしてもちろん無傷で帰還。
リポ電池は3セル1800mAh、感覚として1分で10%を消費、タイマーを7分にセットしておけば問題ない。本機は翼面荷重50g、翼幅1m程度の機体であればこの翼面荷重で軽快に飛ぶ。安定性が高いのでジャイロの搭載は不要と判断。
初飛行成功!
次は、見栄えを良くする作業が待っている。
(設定情報)
エルロン上10mm下8mm、エレベータ±10mm、ラダー±15mm
重心:前縁から70mm
完成
まずは計器盤を取り付け。外からは見えにくいのが残念。主翼に機体名、翼端に格子柄、胴体に機体番号を入れるだけで随分締まって見えるから不思議。これで完成です。
トラブル対策new
その後、飛ばしこんで現在プロポのタイマーは4時間超え。パイロンターンを行うとパイロン機の雰囲気を味わうことができる。
着陸を雑にすると主脚が大きく撓んでスパッツが主翼に接触するハメに。主脚のピアノ線を思い切って前傾させることで現在は問題解決。
夏場、飛行後にアンプが高温になっていたのでヒートシンクを追加。効果の程は不明だが、現在までトラブルは起きていないので良しとする。(2022年11月21日)



(製作編)

経緯
1971年のラジコン技術の臨時増刊号「ラジコン飛行機設計図集」の中にパイロン機「ミノー」「シューストリング」などの図面がある、これに関連して当時のミゼットレーサーの実機3面図集として24機が紹介されている。この中にひときわズングリムックリの形状で目を引く「ロング・ミゼット・ムスタング」がある。「ロング」は設計者の名前に由来するようだ。
パイロン機は以前「サウスポー」「McSpeed」を製作。いずれも手投げ専用機。結構な速度で飛ぶので操縦が怪しくなってきたので結局、廃棄。速度よりもフォルムを楽しむ機体としてこの「ロング・ミゼット・ムスタング」を製作してみることにした。
翼幅1000mmとしてエンジン15クラスを想定、図面はouterzoneに収録されていたのでダウンロード。図面を拡大してみた。確かに図太いデザイン、実はマルタカの雷電15と同じような形状、機首はむしろ太くいらいで作り甲斐がありそう。
主翼フルプランクとして重量800g程度を目標にする。(2022年3月21日)
調達
バルサ材が減ってきたのでこの際に調達。フライトホビーさんには軽量バルサが豊富、今回はSクラスのものを各種厚さを合わせて45枚を補充。
モータはKV値1350のものを購入、3セルで8インチのペラを回す予定。サーボ、アンプ、ジャイロは手持ちのものを使用する。スパッツはOK模型の汎用品を使用。大きさが図面とほぼ同じでラッキー。
リポ電池は3セル1800mAhを使用予定。電池の位置は、寸法がほぼ同じ雷電を参考にすると燃料タンクの位置になる。上手く収まりそう。
主翼
リブの切り出し終了。バルサ材を組み合わせてフルプランクのシートを製作。これにリブ、スパーの位置を書き込んで準備完了。(2022年4月3日)
スパーは3mmヒノキ材を使用、補助前縁材、エルロン切り出しはいつもの方法。
テーパー翼なので後縁に高さを合わせる治具を入れてしっかり固定してから組み上げるのも常套手段。
主翼の上反角は5度と少し大きいが、この角度は雷電と同じ程度なので見た目の違和感はないはず。
この機体の主脚は主翼内側に取り付く。工作は少し面倒になる。実機もそうなっているので、今回は改造せずに設計図に従うことにした。
基本構造完成。(2022年4月10日)
主翼完成 
左右の主翼は、スパーの位置でのカンザシと主脚部をつなぐ補助カンザシとで連結。主脚からの荷重は補助カンザシで効率的に分散させることができる。
主翼表面はフルプランクとしたが、製作を容易にするために裏面はフルプランクとしなかった。中央部をプランクしてリブキャップを接着。
エルロンサーボ用の配線を組み込み、翼端にバルサブロックを接着して主翼完成。
尾翼
尾翼は5mmバルサの骨材を1.5mmバルサでサンドイッチする工法。動翼は骨材にテーパーを付けて1.5mmバルサでサンドイッチ。
水平尾翼、垂直尾翼が完成。(2022年5月4日)
胴体
構造が単純なので防火壁以外は胴枠を作らず6×6mmのバルサ角材で代用。正確に切り出した3mmバルサの側板を基準にして組み上げていく手法を使用。
リンケージはいつもの1mmフレキチューブと0.8mmのピアノ線を使用。
主翼のダウエル受け部と後縁の固定部、及び防火壁は3mmのシナベニヤを使用したがその他はバルサ材のみで構成。瞬間接着剤は低粘度のタイプを使用して硬化剤を併用して組み立てていく。
尾翼の固定は、胴体側に設けた3mmカーボンロッドに差し込んで固定する方式。これで尾翼をしっかり固定できる。
胴体後部の上側は3mmバルサで胴枠を作り、これに3mmバルサを接着した。この上に10mmバルサのブロックを接着して丸く整形することになる。
モータの取り付け方法をシミュレーション。モータの下側を開放構造として、ここからモータを挿入して固定することができることが分かった。従って、モータの上側は閉鎖構造とすることができるので剛性を確保できる。(2022年5月8日)
胴体完成
胴体前部は2mmバルサで製作。胴枠にバルサ3mm角材を架け渡し、成形したバルサ材を接着。構造が単純なので製作は容易。
本機の大きな特徴である機首の左右の空気取り入れダクを製作。2mmバルサの底板に3mmバルサの立壁を接着。この際、立壁は胴体の曲面に沿うように成形。これに胴枠を接着してバルサ3mm角材を架け渡し、この上に1.5mmバルサを接着。ダクトの重量は13g程度と軽量。
サンディング
飛行場に持ち込んでサンディング。約2時間で納得できる仕上がりになった。
モータは防火壁から10mmだけ嵩上げして取り付けるとスピンナーの隙間が最小になり見栄えが良くなる。
主翼のエルロンを切り出し。見栄えを良くするためにヒンジラインを上面近くに設定した。
空気取り入れダクトを機首に仮固定。ズングリした胴体が現われた。
生地完成
尾翼周りの細部を仕上げて生地完成となった。
この段階で全備重量は800g。気になる重心は少し前重心。電池の位置の調整幅はかなりあるので重心合わせは容易。
翼面積は約20dm2なので、900gで仕上がったとしても翼面荷重は45g、良く飛ぶこと間違いなし。(2022年5月15日)
脚まわり
主脚は2.6mmのピアノ線をベンダーで曲げて製作。ピアノ線は少し細い気もするが、着陸時に変形するようなら3mmに変更する予定。
スパッツとピアノ線の固定は、脚押さえ金具をピアノ線に半田付けし、この金具をスパッツにねじ固定して行った。タイヤは50mmのスポンジタイヤを使用。ピアノ線の可撓性と相まってクッション性良好。
尾輪は15mmの小径、シンプルにラダーに直結とした。(2022年5月22日) 
フイルム貼り
実機のデザインは写真を見るとホワイトをベースにしたものが多い。胴体下部と空気取り入れダクトを青としたものがあった。これを手本にしてフィルム貼りを開始。
フイルム自体は中華製のものを使用。温度管理を適切にすれば上手く貼り付けることができる。主翼、尾翼が終了。(2022年5月29日)

完了
胴体は直線で構成されるのでフイルム貼りは容易。エアダクトの前部は3次元形状、フイルムは良く伸びるのでフイルムを引っ張りながらアイロンをあてると意外に上手く貼ることができる。これでフイルム貼り完了。
組み立て
尾翼、動翼、エアダクトを取り付けて組み立て完了。機首部のボリュームがあるので大きく見える。
残作業は、メカ積み、キャノピーの製作、塗装となった。7月中には飛ばせるかな?(2022年6月5日)
リンケージ
リンケージはいつもの方法。エルロンは1.2mmのピアノ線で直結とすることもできるが、今回はテトラのステンロッドアジャスターを使用。この手の部品はいずれ入手できなくなるであろう。中華製では・・・。
メカ室はスカスカ、重心位置付近にジャイロの搭載スペースを確保してある。
舵角は、同じ大きさのジービーのデータを参考にすることになろう。
塗装
ネット上で実機の写真をチェック、どの機体もシンプルなデザインなので真似をしても冴えない。今回は、エアダクトとその周辺をメタリックブルーで塗装。予想通り間の抜けたデザインになってしまった。あとはラベルシールで機体番号や機体名を適宜、作成して貼り付ければ少しは見栄えが良くなるかもしれない。
リポ電池は3セル1800mAhを使用、タンクの位置に納めると上手く重心があった。
結局、全備重量は970g、翼面荷重は49gとなった。ほぼジービーレーサーと同じ。微調整は必要だがこれで完成!(2022年6月12日)

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