スチレン機

<Hydro Foam>

E−ZONEで話題になったHydro−Foamを作成することに・・・。どうなることか。完成 見事飛行に成功。あっけなく。しかし離水には失敗。
その後、幾多の試練をへて、遂に離水に成功

2号機(発泡製)はこちら

(機体/船体の製作)
今回はE−ZONEで図面が公開されているのでそれを利用。デザイナーのTさんがパソコンにPDFファイルを取り込み、エレボン、ラダーの面積を拡大し、不正確な部分の修正を加えた図面を作成。これを基にして各パーツをカッティングシートに切り出してくれた。このシートを3mmスチレンボードに貼り付けて切り出した。非常に楽であった。感謝。持つべき友はデザイナである。

各パーツの組み立ては、精度が十分に出ているのでプラモデル感覚でできた。軽量化を狙って発泡用瞬間+前処理材(OKボンド)を使い、更に硬化促進剤も併用し、なるべく隙間が生じないようにした。
補強は、幅方向にクロスメンバとして2本の3mmの中空カーボンロッドを入れ、ラダー、エレボンには5mm幅のカーボンシートを貼り付けた。

真っ白のままでは見栄えがしないので軽く塗装。防水対策は、瞬間接着剤+硬化剤で隙間が残らないようにしたもののやはり心配。水上に長く居ることはないのカットラインに沿って木工ボンドを塗り込んでみた。また、船体の捻れが気になったので、裏面にX型にカーボンシートを貼り付けた。これでXボディの完成。(2005年6月26日)
(モータマウントの製作)
ネットでは色々なモータマウントが公開されている。カーボンロッドやGWSのスチックタイプが多いが、どこで支持すれば強度が出せるのか??。今回は3点マウントを採用。3mmのカーボン中空ロッドを使い、前側2点は、幅方向に伸びるクロスメンバに接着、後側の1点はほぼ中央のX点まで伸ばして接着。実際にモータを回してみると、モータを全開にしても捻れ等も発生せず強度上問題なさそう。
(モータの選択)
ほぼ完成した機体が約75g。サーボ(×3)+受信機+アンプが42g、リポ3セル(PQ880)が68g、その他リンケージや補強で+25gとすると、約210gになる。意外に軽い。エアクラフトの自作VLモータを使うと想定するとモータ+セーバ+ペラで約46g。全備重量は、260g以下になる。ペラは大きくても8インチ。それ以上になるとトルク負けするようだ。そこでAC−VLモータを、0.3mm:2本を15ターン巻いてみた。GWS8×4.3でMAX約7A、7300rpm、推力は約350g程度。思ったほど推力が出ない。既製品にしようか・・・。
ということでハイペリオンZ2209-32を選択。データ上はAPC8×3.8で8500回転、推力約440gになる。
推力比1.7(440/260g)を確保できる。

モータはシャフトを交換。ペラはなるべく前側が良さそうなので手元にあった60mm長のシャフトを使った。モータ前面から35mmの位置にペラが取り付くことになる。
現時点での計測重量は250g。何カ所か補強する場所が出てきそうなので270g前後か。(2005年6月27日)
(リンケージ)
サーボから各動翼へのリンケージは2mmのカーボンロッドを使った。ホーンはEPP機で実績のあるビデオテープのケースを利用。ホーンの穴の位置は動翼上面から10mmとした。問題は、各動翼を連結するタイロッドである。タイロッド自体は1.2mmのカーボンロッドを使用。わざわざホーンを作るのも面倒なので、カーボンロッドの先端に瞬間接着剤を塗り、細いシュリンクチューブを被せて収縮させ、このチューブの先端を動翼に開けた穴に差し込んで瞬間接着剤で固定した。動きも滑らかで強度的にも問題ない。何よりも作業が簡単なので、我ながらすばらしいアイデアと感心している。
動翼の適切な移動量が分からないので以下のように設定した。
ラダー:±30mm
エレベータ:±15mm
エルロン:±15mm
(完成)
デッキ上のメカは裸のままであるが、まずは完成。フロートの下面(中央及び後端)にはPP板をセメダインスーパX+グラステープで貼り付けた。
重心位置は、主翼(に相当するデッキ)の先端から70mmに設定。そのためにフロートの先端に5gのおもり(左右合わせて10g)を貼り付けた。以下の仕様で全備270gになった。
モータ:ハイペリオン2109-32
ペラ:GWS8×4DD
アンプ:JETIE8A
受信機:GWS6ch
サーボ:ラダー ウエイポイント6g、エレボン ウエイポイント3.8g×2
(飛行) =残念ながら写真を撮ってません=
小雨のなかで飛行決行。特攻隊の気分。地面の上を走らると推力があるのでガラガラ音を立ててスピードが上がる。思い切ってアップを引いてみると、簡単に飛び上がった。飛んだのである。重心位置が適切なのかピッチング方向の癖もなく、変にコブラ状態になることもなく、スロットルをハイにしても頭上げせず、普通に飛んだ。一番危惧していたロール方向は挙動が穏やかで安定していた。基の設計が良いのであろう。垂直上昇させて見ると上がってはいくが今ひとつ推力が不足気味。この状態で暫くとばして一度おろした。2度目はペラを9×5DDに交換。この場合は推力を十分に稼ぐことができ、あのビデオで見た垂直上昇ロールができた。自分でもビックリ。ペラを大きくすることによるトルク負けを心配したが、少なくとも9×5DDでは問題なかった。このころから風が強くなり(その後大雨になったが)ラフな着陸をしたのでフロートを小破してしまった。この点はEPP機とは違い慎重な舵が必要であることを痛感。何はともあれ、あっけなく飛んでしまった。めでたしめでたし。
(気づいた点)
※重心位置はなるべく前に。補強をしすぎると間違いなく後ろ重心になる。壊れたら現場で補修するとして軽量化に心がけること。
※エルロンは舵角を増やした方が面白い。±20mm以上
※エレベータ方向は±15mmくらいが適切
※ラダーはもう少し舵角を増やしたいが現状ではこれ以上は無理。
(動翼は基の図面を+20mm増やした状態での話。基の図面のままでは面積が不足していると思われる)
※スチレン機は衝撃に弱い。本機の場合ショックアブソーバになるものが全くないので特に着陸時は慎重に。草地での飛行が好ましい。
※現状270gでは旋回時に巻き込む事もなかった。少し重くなると低速での旋回時(特に着陸時に)に苦しくなりそう。
※スチレンペーパに適切な接着剤の選定が課題。
(お礼)
E−ZONEでの衝撃映像から2週間で完成させることができた。何よりも材料切り出しにご協力頂いたデザイナTさんには感謝いたします。今年の夏はこれで遊べそう。
(証拠写真)
Yさんが写真を送ってくれました。ありがとうございました。山の方にはその後大雨をもたらした雲が見えます。(2005年7月2日)
(リベンジ飛行)
午前中の風が弱い時に思う存分「地上を走らせ」「飛ばす」ことができた。水たまりの上では抵抗が減るのでスピードがアップする。滑水距離が短いので離水までは至らなかったが、水上を走らせると間違いなく面白い。(7月3日)
(フライトインプレッション)
草地で飛ばしてみた。ここはRC飛行場として使っているので手入れが行き届いているはずだが、よく見ると凹凸が有ったり小石が残っていたり・・・。スチレン機には厳しい環境。公園の綺麗な芝生の上でないとフロート下面に穴が開くことは必至。やはり水上が適しているようだ。
昨日は初飛行でおまけに風の強い状況なので機体の性能を十分に判断できなかった。今日は風が比較的穏やかだったので、思う存分飛ばし込むことができた。
(地上走行性能)
現状のラダー面積でも十分に方向を変えることができる。推力は9インチペラが出るが先端が草に当たることが多くスピードが上がらない。8インチペラでは問題なく走行。行ったり来たりさせると面白い。地上でも十分遊べる。
(飛行性能)
ビデオで見たように地上から垂直に引き上げることができた。飛行姿勢は極端なコブラ状態になることもなく、機速をつけると水平飛行ができる。旋回はラダーを使えば比較的楽にできる。急激に旋回させても巻き込むことがない。不思議な感覚を味わえる。
ロール方向の安定性は非常に高い。予想に反してコロコロすることがない。結局はD/Rを100%にして飛ばしたが、これでも十分に安定している。ロールの軸は綺麗に通る。但し、右ロールはロールレートが遅く面白くない。やはり左ロールがお勧め。
ループも問題なくできる。エレベータも結局は最大舵角にして飛ばした。小径のループができる。
一番面白いのは正面コブラ。フロートの間に空気が流れるせいか非常に安定している。風が有ればホバリングも簡単。
問題の着陸はコツが分かった。ある程度ペラを回しながらフロートの間に空気をためてコブラ状態で地面すれすれまで持ってきて降ろすと殆どショックもなくフロートの破損もない。但し、真っ直ぐに降ろすこと。少しでも斜めに接地すると必ずフロートが破損する。本当・・・です。
(結論)
◆機体は、安定性が高く、まず失速することはない。ロール方向、ピッチング方向とも挙動が穏やかなので舵角はなるべく大きくして運動性を高めると面白い。
◆水平状態を維持して両方のフロートが同時に接地するように真っ直ぐに着陸すること。
戦い終わって)
調子に乗って海に浮かべてみた・・・が、受信機に水が入り・・・停止。防水を全くしていない状態で・・・無謀な挑戦だった。反省。
たった一日で数々の傷を負った。斜めに着陸すると、デッキとフロートの間の接合部が見事にはがれる。モノコック構造のために外力の逃げ場がないので弱いところから壊れていく。昨日の朝まではあんなに綺麗だったのに・・・。
ラダーとデッキとの間に斜めにカーボンロッドを入れると強度アップ。これはお勧め。

(改良点)
前側のフロートの破損が激しいので補強も兼ねて0.5mmのPPシート(100円ショップのPPカードケースB4サイズ)を前側フロートの下全面に貼り付けた。接着剤はセメダインのスーパXを使用。重量増は15g程度。これに伴いフロート先端の10gの重りを取り外した。PPシートの効果の程は未確認だが無いよりは有った方が良いハズ。(2005年7月3日)
(離水への挑戦)
降水確率80%の中、早朝に室見川で離水に挑戦。防水対策はhttp://kit01.blog15.fc2.com/の管理人さんに小型水上機の防止のコツを教えてもらいこれを実践。
結果は『失敗』。水面を走ることは走りますが離水できなかった。
原因を私の少ない知識で考えてみると、
◇8×4DDでは推力不足。かといって9×5DDでは水面をたたいてしまいNG。
◇暫く水面に浮かべているとフロート内に少しずつ浸水。フロートの左右重量に差が出て、その場合は真っ直ぐ走ることも難しくなる。
◇モータのアップスラスト。現行0度。2〜3度は必要に思われる。先週の経験では0度での飛行は頭あげすることなく良好。このバランスをどうとるか。
E−ZONEのスレッドを見てみると離水するには推力比=2が必要とある。今回の一番の原因はここにあるように思う。してみると
◇ペラの選定。現行8×4DDをAPC8×4Eや8×6SFに変えてみる。
◇モータの位置。モータを現行よりも3cm高くするか、ペラの取り付け位置を更に前方に伸ばして9インチペラが使えるようにする。
ことが手っ取り早い。また、フロートの防水を完璧にしておくことが必要。
本日の度重なる挑戦の最後に護岸に衝突して(自分としては激突はしていないと思うが)フロートが大破。水上だから大丈夫と思っていたがスチレン板は想像以上に弱い。腹いせに芝生で離陸しようとしたら失敗して更にフロートが大破。その後で雨まで降り始めて踏んだり蹴ったり。
(計画)
素材の見直しが必要。現在TさんがEPPを使い独自の防水対策を施した機体(船体)を製作中。そのアイデアをパクるか・・・、フロート前側だけに発泡ブロックを使った機体にするか・・・思案中。最初に作ったこの機体は損傷が激しいので引退してもらおうと考えている。(7月10日)
(改良)
一番壊れ易いフロート部を発泡ブロックに交換した。テンプレートを使ってきれいに切り出せれば良いが、今回は簡易的にエイヤで切り出した。また、機体全体に弾性を持たせるために、フロート部はフローティング構造とした。要は機体両側にカーボンロッドを取り付けフロート部のサスペンションとした単純な構造。外力が加わると見事に撓む。成功。
早速、地上を走らせてみると不具合発生。フロート下面の形状が悪く、つんのめってしまう。オリジナルのように滑らかな曲線にしないと駄目。地上はあきらめて川に浮かべてみた。見事に浮いた。更に水上を走ることもできた。喜んだのもつかの間、舵が十分に効かず川の堰の取水溝への流れに捕まってしまった。脱出できなくなり、取水溝の中で洗濯物のように翻弄され、全没。幸い機体は一部は壊れたものの原型をとどめていた。地上では苦もなく飛んだのに、水上は予想できないことばかり。飛ばす(浮かべる)場所を選ぶ必要がある。

(収穫)
◇フローティング構造はなかなか良い。確かに壊れ難くなった。
◇フロートの底面の形状は滑らかに。手抜きは駄目。
◇水上では水中舵がないと思うよう舵が切れない(当たり前)。
◇ペラはAPC8×6Eを使ってみた。MAX8A程度なので負荷はそこそこで推力は問題なさそう。
◇場所を慎重に選べば絶対飛ぶ(離水する)ような気がしてきた。
(7月16日)
(離水に成功)
遂に離水に成功。一昨日のアクシデントで破損した部分を修理し、フロート下面をオリジナルに近い形状に修正。
まずは草地での走破性をチェック。ラダーも良く効き、これ前以上の運動性能を発揮。フローティング構造のお陰で多少の段差も問題なかった。いよいよ離水に挑戦。十分に浮くことは昨晩自宅の風呂で確認済み。スロットルを上げていくと、左にとられる癖があった。当て舵をしながら速度が上がるのをまっていると・・・なんと綺麗に離水してしまった。上空に上がればあとは普通の飛行機のハズが・・・、
◇修理によって後ろ重心になった
ために頭上げの傾向が強く、操縦がしづらい状況になってしまった。おまけに推力を稼ぐために
◇APC8×6SFを使った
せいか機速が上がり、以前とは比べものにならないくらい安定性が悪くなってしまった。暫く上空で飛ばした後に、着水に挑戦。コブラ状態でゆっくり降ろすことを心がけて・・・見事、着水に成功。以前の陸上での経験が生きていた。ともかく離水→上空→着水が上手くいったので一安心。
(改良点)
◇水中舵は必要。これがないと離水に至るまでに真っ直ぐに走れない場合がある。
◇重心は適切に(7cmよりも前)。8cmくらいになると操縦しにくくなる。
◇ペラはGWS9×5DDが一番感じが良かった。そのためにはモータの位置を少し高くしないと水面をたたいてしまう。

その後数回離水→着水を練習。特に着水は何度やっても興奮する。一度背面状態で着水。防水が上手くいっているのかメカは無事。モータは浸水したが異常なく、その後も回ってくれた。(2005年7月18日)

体力測定
GWS EP8040
 電流4.8A 8500rpm
GWS EP9050
 電流7.1A 7000rpm

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